「24のプレリュード」作品53
解説――ニコライ・カプースチン

私がこの「24のプレリュード」の作曲をした頃は、LPレコードの時代で、旧ソビエトにおいてはCDはまだ一般に普及していなかった。

そのため、私はレコードの両面に収まるように（プレリュードを片面に12曲ずつ）作曲するよう努力した。

これは、1曲の演奏平均時間が“1分45秒”というきわめて短い時間を強いられることを意味する。

この制約は、大変な苦労を伴ったが結局実現された。


プレリュード第1番の終りに、この曲だけを単独で演奏できるように付加された小節が与えられているが、この曲集は全曲を通して弾かれることが望まれる。

またそのために、第1番と2番、第21番と22番の間は“アタッカ”で切れ目なく演奏するよう指示してある。

コンサートで取り上げるとすれば、この曲集は1回のコンサートの1セクション――半プログラムとしては通常よりわずかに長すぎるかとは思うが――を占めるであろう。

この「24のプレリュード」は、私の演奏で1989年にLPに録音された（“Melodia”Moscow）。

この録音には重要な難点があった。

各プレリュード間の間隔を最小限に押さえざるを得なかったのである。

それから10年ほど経って、この作品がCD化された際にこの難点は解消された。


このプレリュード集は、ちょうどショパン、ショスタコーヴィッチほかの作曲家の場合と同じように、五度圏をめぐる配置で並べられている。

すなわち、第1番がハ長調、最後の曲がニ短調である。

6曲が遅いテンポの曲、他の曲は速いか、又は中庸のテンポである。

これらの作品の順序を崩して演奏することは――まさにスティーヴン・オズボーンがやっているが――、望ましいことではない。もちろん、彼は13曲だけを録音しているので、これはなんとか容認されても良いかもしれない。

なにしろ、彼は単に自分流に短いヴァージョンのプレリュード集を作り上げたのだから。


この作品の作曲のプロセスは次のようであった。

まず、24の短い楽想のスケッチ（8小節~10小節くらい）をし、それをのちに一つ一つのプレリュードに発展させた。

表紙には意図的にページを折った跡が見られますが、中身のページは至って綺麗です。

極美品かと思われます。

（②に続く）